ワークキャンプの組織者になるには、数多くのトレーニングを受ける必要があります。コーディネーター研修、活動宣伝トレーニング、キャンパートレーニングなど。それらのトレーニング講師を務めるのも、各地区の学生たちです。
彼らは何を思い、どのようにして、講師になったのでしょうか?
<自身の『黒歴史』(失敗談)の語り部 蔡遠標>
広州地区に、自身の失敗談(黒歴史)を語ることを愛してやまない講師がいる。蔡遠標、あだ名は標妹。標妹は、周りの人みんなを笑わせる才能を持っている。彼と一緒にいるとプレッシャーがなく、気軽で愉快な気持ちになる。
大学1年からキャンプに参加し始め、今年までに8回のキャンプを経験した。講師としての経験も豊富で、これまでに地区で7,8回の講師を務めた。初めて講師をしたのは、大学2年の下学期、写真展トレーニングの講師だった。
初めての講師で、標妹の話は不明瞭で、そもそも何をどう話せばいいかもわからない状態だった。講義の資料も、他の人が作ったもの。しかし講義中にふと参加者の方を見ると、寝ている人が目に入った。話がつまらなさすぎるに違いない、何かをしてみんなの注目をひかなければ。とっさに思ったものの、講師の経験が浅く、語れるものは自分の経験しかない。そこで、自分がしてきた失敗談を面白おかしく話してみたところ、効果てきめん。この初めての経験が、標妹のその後の「黒歴史調」講師に強く影響した。
2013年、標妹は広州地区プロジェクト部の部長を務め、トレーニング講師も多く任された。2014年春キャンプ前交流会で、標妹は、今まで自分のトレーニングに参加した地区コーディネーターたちが、よく簡単な失敗をすることに気付いた。どうしてだろう?そんな疑問を持って、コーディネーターに何が欠けているかを注目するようになった。より質の高い地区トレーニングを作るために、喜んで事務局主催のトレーニングに参加した。他地区のワークキャンプにも参加して、キャンパーとしてと同時に、学びの姿勢で、広州地区とどのような違いがあるのか、どのようにキャンプが行われているのかを研究した。事務局スタッフの話を聞き、経験を重ね、他者と自身の失敗に気付いていくことで、彼の講師としての腕は次第に磨かれていった。
彼のトレーニングに参加すると、「ここで一例。当時××キャンプの時、本当におバカな失敗をしました。領収書を全部なくして、代わりの領収書を必死に探すしかなくて。これは相当痛い失敗。今日話を聞いているうちの誰かも、いつかどこかで標妹と同じ馬鹿な間違いをするかもしれませんよ…」そんな話を聞くことができる。
標妹は自分のユーモアでみんなを笑わせ、自分も笑われることを気にしない。「そうだよ、ほんとにバカだったんだから」。そう答えられると、聞いている側はまた笑ってしまう。彼は他の人と、気軽に楽しく話せる雰囲気が大好きだ。講師の時もよく手を動かしたり、おかしな声や体の動きをしてみたりしてキャンパーの注意を惹く。キャンパーに好かれる講師としての魅力がそこにある。彼の黒歴史は聞く人を楽しませ、標妹自身も楽しくなり、聞いているとまるで人の失敗談を話しているように感じる。「講師はみんなと話を共有する人、だから、聞いてくれるキャンパーとは友達のような関係を作りたい」と、標妹は話す。標妹は講師を教授のような立ち位置としてではなく、人と共有し、友人として交流する場としている。これもまた、彼が黒歴史を愛する理由の一つだろう。黒歴史講師の名前は、多くのキャンパーの心に深い印象を残している。
他にもまだまだ独特な講師たちがJIAにはたくさんいます。
彼らについてはこちらをご覧ください(JIAニュースレター039号)